東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所

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最新の研究

  • 2018.01.10
  • 長井研究室

流体デバイスを用いた有機半導体可視光応答光触媒
(登録商標 J-cat)のスケールアップ合成
ーp-n接合様二相ナノ粒子の精密合成ー

 よく言われているように、実用化されている光触媒の多くは、酸化チタンを始め紫外線や青色光にしか応答しないため、太陽光の大部分を占めるオレンジや赤の光や室内の光では働きません。また水の中には紫外線や青色光は届きにくいので水処理に用いるには光源の工夫が必要となります。また、無機化学のさまざまな手法で長波長の可視光に応答させようと思うと、希少元素をもちいたり、窒素や硫黄のドーピングが必要となり、安定性、価格、毒性などの問題が新たに起こります。

 人工光合成にせよ、環境調和型にせよ、光触媒の研究は、当然のことながら実用を目指した研究であり、いくら性能がよくても、これらの問題への回避策をもたなければ絵に描いた餅に終わってしまいます。こうした観点から、私たちは、はじめから有機材料ベースの光触媒を思い描き、まずは最も困難と予想された、多電子酸化触媒としての安定性への答えとして、可視光照射で酸素発生が連続的に起こることをしめし、つづいて反応生成物、出発物の分離の観点から、膜の表裏で酸化還元サイトをマクロスコピックに分離した膜型光触媒を実証し、さらに低コストプロセスとして、湿式プロセスで(原料のほかは、ビーカーと注射器、溶媒は多少の有機溶媒と水だけで)合成できる光触媒が働くことを示してきました。

 このたびは、実用化にむけて、これまでの技術を更に安価に、そしてスケールアップさせることに成功しました。具体的には、湿式プロセスを流体デバイスにより定常的な運転の可能な装置を作成し、また流体力学でいう乱流域にすることにより、ナノ粒子サイズの均一性を高めました。サブ10ナノから、50nmのサイズで制御が可能です。またこの装置は、自動運転が可能でナノサイズを制御したpn接合体楊光触媒を大量に(1日運転で1トンの懸濁液)合成することが実現しました。この装置は極めて安定ですので、ある程度の環境を整備すれば大学の研究室のレベルほどの環境でなくても運転可能です。幸いに、興味を持っていただいたベンチャー企業がありましたので、そこへの技術移転を行いました。現在はそちらから市販されています。この光触媒懸濁液はスプレーなどから噴射することで容易に実装することが可能です。また性能面でも、ナノ粒子サイズの制御性の向上により、従来の方法よりも向上しています。

 今後はより、出口に近い応用をもとめ、そこからの問題点の解決にもあたりたいと考えています。その意味でも、この光触媒を使ってみたいと思われる皆さんのご連絡をお待ちしております。

201801Fig.jpg

写真のサンプル(それぞれ1L)は溶液のように透明ですが、ナノ粒子の分散液です。ナノ粒子のサイズが光の波長よりも2桁以上小さいために散乱が起こりません。定義としては懸濁液ですが、懸濁しているようには見えませんね。分散媒はほとんどが水で、界面活性剤も使用しておりません。

参考文献
[1] Prabhakarn A., Zhang, S. Abe, T. Komura, M. Iyoda, T. and Nagai K. Appl. Catal. B Environmental, 193 (1), 240-247, (2016). doi:10.1016/j.apcatb.2016.04.027.
[2] 長井圭治、阿部敏之日本国特許5688789号 2014.2.6.
[3] 長井圭治、日本国公開特許公報2017-43520,2017.3.2.
[4] 日経産業新聞 2017.11.14 日経産業新聞 7面
[5] J-catは東京工業大学の登録商標です。

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