
資源化学研究所は、加藤与五郎教授が発明されたアルミナの新製法の特許の実施料を基金に1939年に設置されました。1954年には、燃料科学研究所と統合され、1979年には大岡山キャンパスからすずかけ台キャンパスに移転しました。資源化学研究所は本学における附置研究所のひとつとして、資源に関する化学の学理および応用の研究に一貫して携わって来ました。2000年には白川英樹博士がノーベル化学賞、文化勲章を受賞しましたが、受賞理由の導電性高分子の研究は資源化学研究所で生まれたものです。2009年に13部門、1研究施設、1寄付研究部門の構成となり、現在に至っています。
当研究所の設置時の理念は「真理の探究と科学・技術の人間社会への還元」であり、これは今日にも引き継がれています。つまり、真理の探求からの発見ならびに発明の実施による社会の発展への寄与がわれわれの使命であります。当研究所は、化学をベースにした総合的な研究所であり、以上のような理念を共有し、基礎・基盤的な研究から社会に応えるための応用研究までを包括しつつ、研究所として統合的に取り組んでいます。また、当研究所は、知の深化を志向しながら化学技術の革新の達成にも寄与することを目指して、企業や他の研究機関との協力も強力に進めています。現在、北大電子科学研究所、東北大多元物質科学研究所、阪大産業科学研究所、九大先導物質科学研究所とともに五大学附置研究所間アライアンスによるナノとマクロをつなぐ物質・デバイス領域共同研究拠点に認定され、ネットワーク型共同研究を推進しています。
いうまでもなく、資源化学研究所は附置研究所でありますので研究機関でありますが、教員は大学院総合理工学研究科をはじめとする研究科に属する専攻の教員も兼ねており、積極的に大学院教育・指導にあたっています。大学院学生とともに、当研究所の研究理念にもとづいた研究を進めて行くなかで、発明や発見の喜びを共有しながら、人材の育成を行っています。そういった人材は科学技術立国を担い、かつグローバルな規模での社会の持続的発展に貢献してくれるものと信じています。研究の過程で起こる様々な問題に対して真摯に取り組み、学生諸君とともに課題を解決していく姿勢が重要と考えています。また、当研究所の組織は部門制が基本となっていますが、研究・教育において、部門の独立性=閉鎖性となることは危険です。ひとりひとりの顔が見え、自由闊達な議論と行動ができるオープンな組織として、「明るく風通しのよい」資源化学研究所を目指していきたいと思います。
繰り返しになりますが、当研究所は、近年大きな問題となっています資源・エネルギー・環境における課題に対して真正面から取り組み、持続可能な社会の実現に寄与するという大切な役割を担っています。豊かな暮らしに必要な資源の確保と人類の存亡にかかわる地球環境の保全は今世紀の最大のテーマであります。資源化学研究所は、地球ならびに地域環境問題の解決に貢献し、また資源の有効かつ適切な利用を推進するためのサイエンスとテクノロジーの向上と発展に努めることを重要な課題として取り組んで参ります。 |