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鎖状構造と平面構造を自在変化する多核遷移金属錯体の研究
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#2011年12月 新金属資源部門
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1次元鎖状構造に炭素原子が並ぶポリアセチレン、炭素原子の並び方が2次元平面構造へ拡張されたグラフェンは、電子が移動できる共役構造を持つことから、光・電子材料として魅力的な分子です。近年、炭素原子だけではなく、典型元素や遷移金属元素が1次元或いは2次元構造に配列した多核錯体は、気体小分子の活性化、強磁性化合物、外部刺激による構造変換等、上記の炭素系分子集合体と比べると、より柔軟性に富んだ機能を発現することが期待されています。最近、我々の研究室では、4個の遷移金属元素 (Pd:パラジウム) と3個の典型元素 (Si:ケイ素、Ge:ゲルマニウム) で平面構造を形成する四核錯体を偶然に発見しました (図1a)。この四核錯体は、ケイ素上の置換基、リン配位子に特別な工夫を必要とせず適切な原料錯体を適当な比で混ぜ合わせるだけで、簡便かつ高収率で合成することができます。白金を加えると、中心に白金が位置する同じ平面構造の四核錯体を単一生成物として与えます (図1b)。分子軌道計算の結果、中心骨格をなす非局在化した分子軌道が四核錯体の安定性に大きく寄与することも明らかにしました(図1c)。
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図1
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四核錯体はルイス酸、ブレンステッド酸等の電子不足化合物との反応が効率良く進行して、ヨウ化銅が付加した五核錯体 (スキーム(i))、プロトン酸の付加により分子構造が大きく変換した1次元鎖状錯体を与えます (スキーム(ii)、図2)[2]。このようにして、2次元構造を持つ多核遷移金属錯体は分子構造の珍しさだけでなく、その反応性や機能性も類例がなく無数の発見を秘めている研究分野です。 |
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スキーム |
図2 |
参考文献
[1] T. Yamada, A. Mawatari, M. Tanabe, K. Osakada, T. Tanase, Angew. Chem., Int. Ed. 2009, 48, 568-571.
[2] M. Tanabe, N. Ishikawa, M. Chiba, T. Ide, K. Osakada, T. Tanase, J. Am. Chem. Soc., 2011, 133, 18598-18601. |
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「絡まって離れられない」を利用して、分子を連結する
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複数の金属原子を連結する方法として、分子と分子を絡ませる方法に取り組んでいます。私たちは鉄(Fe)を含む新しい環状構造の分子を合成しました。この環状の分子と、線状の分子を利用して、これらが絡まり合って抜けられない状態を作り上げました。このような環状の分子の環の中を、線状の分子が貫通した状態をとった集合体のことを「ロタキサン」と呼びます。この研究は、同じ環状分子を利用して展開させており、ロタキサンの光物性を変化させるまで研究を展開させています。
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図:「絡まって離れられない」状態を利用して、2つの鉄(Fe)を連結した。
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参考文献
Y. Suzaki, E. Chihara, A. Takagi, K. Osakada, Dalton Trans 2009, 9881-9891.
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側鎖官能基分布の完全に制御された新しい高分子合成法 |
ビニルモノマーの付加重合では、通常一つの主鎖炭素おきに側鎖官能基をもつポリマーが得られます。エチレンとビニルモノマーとの共重合では、側鎖官能基密度のより低いポリマーを合成することができますが、その高分子中での分布は均等ではありません。最近我々の研究室では、パラジウム錯体触媒を用いた片末端ジエンの重合において、通常予想されるアルキル側鎖を有する高分子ではなく、直鎖オリゴメチレン鎖と環構造が交互に結合した高分子が得られることを見出しました。この場合、生長種であるアルキルパラジウムが異性化(チェーンウォーキング反応)を起こすことが、このような特徴的な重合反応の鍵となっています。同様の異性化重合は、4-アルキルシクロペンテンやアルケニルシクロヘキサンをモノマーとして用いた場合にも起こり、環構造の分布の厳密に制御された高分子が得られます。特に、4-アルキルシクロペンテンから得られる高分子は液晶性を示すことも明らかにしています。 |
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参考文献
T. Okada, D. Takeuchi, A. Shishido, T. Ikeda, K. Osakada, J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 10852-10853.
D. Takeuchi, J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 11106-11109.
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