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Research

研究方針

 環境問題、エネルギー・資源枯渇問題など地球規模の問題の解決、さらに豊かな生活の持続のためのエレクトロニクス技術、医療・医薬技術の進展、どちらの分野でも新しい機能材料の開発が必要不可欠です。しかしながら、単純な機能しか示さない従来型の材料ではこれらの応用に限界があり、さらなる進展には精緻で複雑な機能を示す材料が要求されています。
 材料自身をシステムとしてとらえ、複数の素材を有機的に結びつけ、新機能を発現する材料へと発展させる。これが我々の研究室が提唱している”機能材料システム”の考え方です。現在まで、偶然に発見された機能材料の多くは、いくつかの素材が複合化されていますが、偶然に頼らずにそれぞれの素材の機能を理解し、システムを構築して新規の材料を設計するのです。このためには、1)材料の中でシステムを構築するシステム化、2)計算機シミュレーションを用いた機能モデリングによるシステムの最適化、3)ミクロ、ナノ、メソ、マクロと各階層に於ける精緻な構造制御によるシステムの実現、の3つが必要となります。
 具体的には、燃料電池などのエネルギー材料の世界、生体システムを模倣した新しい刺激応答材料の世界で、材料システムの実現を目指します。さらに、他の世界にも広がると考えられます。燃料電池、バイオマテリアルの創製から、持続発展可能な地球環境保全技術へと展開できます。

研究内容

新規燃料電池材料システムの設計・開発

 固体高分子形燃料電池は、水素燃料を用いた自動車などの移動用、家庭用などの定置型電源として注目されています。例えばガソリンからのエネルギー変換効率が13%程度の現状の自動車を、燃料電池を用いて変換効率を70%にできれば、CO2の排出量が激減します。また、携帯機器だけでなくロボットを含むコードレス型未来デバイスへの応用が必要不可欠になっています。しかしながら、その場しのぎの開発が多く、一般に普及するには数十年かかると言われています。このままでは、地球温暖化に歯止めをかけるには遅すぎます。

 我々は世界で初めて、数十nmの多孔膜細孔中に電解質ポリマーを充填すると新しい構造、機能が発現することを発見しました。この膜は、国内メーカー数社において実用化が始まろうとしています。皆さんの卒業研究が社会で応用される実例として期待されています。また、研究室では次世代の膜開発がすでに始まっています。

 燃料電池には膜だけでなく、触媒層などもあり、機能が分担・連携しています。用途に合わせて、膜・触媒を含む電池全体をシステムと考え、設計・開発します。この考えから、触媒カーボン担体へのグラフト重合、ナノ粒子キャッピング手法、燃料電池状態での触媒表面解析など、世界でも例をみないナノレベルからの新しい発想や化学合成手法が生まれています。また、バイオマス燃料電池、グルコースなど生体内物質を生体膜と同様にエネルギーへと変換するバイオ燃料電池など、さらに未来の技術開発に向かっています。燃料電池技術の普及を早め、地球環境を維持するために、皆さんと一緒に材料システムの概念を適用し、世界の燃料電池研究をリードする新規概念、新電池開発を行っていきます。

燃料電池材料及びシステム的燃料電池設計・開発 


生体システムから発想した新規刺激応答材料システム(バイオマテリアル)の構築

 従来の人工材料では分離・反応など一定の機能を定常的に示しますが、生体では時間・環境によって同じ細胞や生体膜が異なる機能を示します。物質情報を認識し、必要な機能だけを示すことにより生体全体の恒常性を保つのです。 

 生体自身を人工的に作ることは困難ですが、生体の持つシステムから発想して新しい人工材料を作ることは可能です。特定物質シグナルを認識し、必要な機能を必要なときにだけ示すことによりシステム全体の恒常性を保つ材料を構築するのです。未来の人工臓器、薬物送達システム、医薬品合成のためのマイクロリアクタを考えると、この生体システムは良い見本となります。

 我々は超分子による物質認識機能、環境応答ポリマーによるアクチュエータ機能をナノ多孔体内部で協調的に組み合わせ、様々な材料システムを開発しています。情報伝達物質だけを認識して膜細孔の開閉を行う分子認識ゲート膜、材料が自律的に特定物質だけを認識して捕捉・離脱する分離材料、分子を認識すると細孔を自律的に開閉し透過性能を振動させる膜などの開発に成功しています。さらに、膜上に細胞を培養し、死んだ細胞から放出されるシグナルを認識し、死細胞だけを選択的に系から除去する人工新陳代謝材料システムも開発しています。

 また、細胞を模倣したマイクロカプセルリアクタなど、独自の発想で研究が進んでいます。さらに生体システムを模倣し、細胞、組織、器官へと発展させた材料システムの構築を目指しています。まだ始まったばかりの研究領域ですが、システム化の概念を用い、誰も実現できなかった新しい科学技術分野を開拓しましょう。我々は超分子による物質認識素子、環境応答ポリマーによるアクチュエータ素子を多孔体内部で協調的に組み合わせることにより、情報伝達物質だけを認識して膜細孔の開閉を行う人工材料の開発に成功しています。また、同様の組み合わせにより、材料が勝手に自律的に特定物質だけを捕まえたり、離したりする」材料の開発 にも成功しています。人工材料を用いても、生体のシステムを模倣することは可能です。現状では膜に関する模倣が主ですが、さらに生体システムを模倣し、細胞、 組織、器官へと発展させた材料システムの構築を目指しています。
 まだ始まったばかりの研究領域ですが、システム化の概念を用い、誰も実現できなかった新しい機能材料に挑戦しています。



材料システム設計のためのモデリング及び微細構造制御

さらに、上記の分野の材料システムの開発には、計算機シミュレーションによるモデリングや材料の微細構造制御技術の確立が不可欠です。これらに関する研究も行っています。