東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所

研究所について

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所長挨拶

 化学生命科学研究所は、本学の大規模な組織改革によって発足し8年目を迎えますが、前身の資源化学研究所から辿ると80年以上の長い歴史があります。その歴史を紐解きますと、昭和天皇の勅令により本研究所が設置され、その中に「化學ノ學理及應用ノ研究ヲ掌ル」とあります。本研究所では、人が変われどなお脈々とこの崇高な理念が引き継がれ、学理を追求する基礎研究とそれに根ざした社会貢献を果たしていく伝統が培われています。「基礎」と「応用」は一見相反する2つの軸を持つように見えますが、2焦点を持つ楕円が広い範囲を抱括するように、現代にも則した優れた研究理念となっています。科学技術が大きく発展し、日進月歩の勢いで目まぐるしくテクノロジーが発達している今日では、基礎と応用は表裏一体と考えられます。すなわち、今日の発見が明日の発明につながり、それがさらなる発見を生み研究の大きな広がりになっていくわけです。本研究所の温故知新のこの理念はまさに現代にも通用する益々重みのあるものとなっています。本研究所はこれまでに、この理念に基づく高い志を持って、我が国の科学技術の新たな時代を切り拓く役割を担ってきたものと信じております。


 化学生命科学研究所では理念を継承し、「分子を基盤とする化学および生命化学に関する基礎から応用までの研究の深化、発展を通じて、新しい学理の創成と次世代科学技術の創出を実現し、人類の高度な文明の進化と、より豊かで持続的な社会の具現化に貢献する」というミッションを掲げております。21 世紀に入り、時代の要請にこたえて生命科学分野も積極的に取り込んで生命と化学の2本柱を据えて、ミッションの実現に向け、分子創成化学領域、分子組織化学領域、分子機能化学領域、分子生命化学領域という4 つの研究グループが置かれました。各領域では、さらに教授、准教授、助教が研究グループを構成し、「化学」を基盤として、物質、資源、エネルギー、医療、生命科学などの独創的な研究を展開しています。


 所外に目を向けますと、私たちは先導的な国立大学法人附置研究所としてその社会的な責務を果たす一環として、我が国の研究基盤強化のプラットホーム構築にも積極的に取り組んでおります。2009 年から九州大学先導物質化学研究所、大阪大学産業科学研究所、東北大学多元物質科学研究所、北海道大学電子科学研究所と共に組織したネットワーク型の全国共同利用研究拠点として「物質・デバイス領域共同利用・共同研究拠点」活動を実施しています。この拠点活動の母体として、上記の5 研究所が連携する「人・環境と物質をつなぐイノベーション創出ダイナミック・アライアンス」事業を並列して進めています。この附置研究所アライアンス事業では、それぞれの研究所に所属する研究者間の共同研究を国内外にネットワークをめぐらし積極的に推進・支援し、これまでも数多くの研究成果を上げています。


 当研究所は30代の若手教員が多く、学生も含め若い諸君が研究所内での親密な連携と切磋琢磨を繰り返しながら大きく成長し、彼らの大きな力が基盤となってアクティビティ高く世界最先端の研究を展開しております。結果として、当研究所では研究者として優れた数多くの人材を国内外の研究教育機関に輩出しており、大きなネットワークを形成しております。

 最後になりましたが、私は、所長として伝統的な理念を継承し、化学生命科学研究所がワンチームで「研究」力を世界に発信出来るように、微力ながら尽力する所存です。何とぞご指導ならびにご支援のほどよろしくお願いいたします。

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