東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所

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受賞・プレスリリース

  • 2025.05.01

ペプチドでできた編み込みナノチューブ構造の合成に成功

東京科学大学(Science Tokyo)総合研究院 化学生命科学研究所の澤田知久准教授らの研究チームは、タンパク質の材料であるペプチドからなる結び目構造を合体させた編み込みナノチューブ構造へ人工的に集合させることに初めて成功しました。

結び目構造は化学合成が非常に難しい分子構造の一つであり、人工合成が挑戦されてきました。本研究グループはこれまでに、ペプチドに対して金属イオンによる自己組織化を利用する独自の合成法によって、複雑な結び目構造の構築に成功してきました。しかし、結び目の右巻き・左巻きを制御することは課題でした。

今回新たに、ペプチド配列中にアラニンを1カ所導入することで、左巻きの結び目構造に制御されることを明らかにしました。また、配列の別の位置にアラニンを導入すると右巻きの結び目構造が生成し、これをもとにアラニン側鎖の先に金属イオンとの結合サイトを加える設計によって、右巻きの結び目分子二つが合体した、編み込みナノチューブ構造が構築できることも見出しました。本成果で得られた複雑な結び目や編み込み構造の設計法をもとに、編み込み構造を基盤とする機能性分子材料の創成に向けた応用が期待できます。

本研究成果は、東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所の澤田知久准教授、東京大学の藤田誠卓越教授(兼 分子科学研究所 卓越教授)、小熊蒼汰大学院生(博士課程学生)らによって行われ、3月6日付けの米国の主幹化学雑誌「Journal of the American Chemical Society(アメリカ化学会誌)」(オンライン版)にオープンアクセスで掲載されました。

論⽂情報

●掲載誌 Journal of the American Chemical Society
●掲載日 2025年3月6日
●著者 小熊蒼汰・猪俣祐貴・早川覚博・中間貴寛・藤田誠* ・澤田知久*
●タイトル Helical Sense Control of Metal-Peptide Torus Frameworks Leading to the Folding and Assembly of a Ag21L14 Braided Peptide Nanotube
●DOI 10.1021/jacs.5c01458

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