東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所

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受賞・プレスリリース

  • 2025.05.09

破骨細胞分化を促すシグナル「RANK-RANKL結合」の可視化に成功

東京科学大学(Science Tokyo)大学院医歯学総合研究科 分子細胞機能学分野の中濵健一准教授と同 総合研究院 化学生命科学研究所の中村浩之教授、および国立障害者リハビリテーションセンターらの研究チームは、NanoBiT技術]を用いてRANK-RANKL結合を発光によって可視化することで、生きた細胞における結合場所の特定および定量化に成功しました。

骨は、骨を合成する骨芽細胞と、骨を溶かす破骨細胞によって常に新しく作り替えられ、骨の強度が保たれています。骨が弱くなる骨粗鬆症では、破骨細胞による骨吸収量の増加が原因であることが知られています。破骨細胞は、RANKを発現する単球系の細胞がRANKLによる刺激を受けて分化することから、RANK-RANKL結合の可視化技術は、破骨細胞の分化機構の解明や骨粗鬆症の治療薬探索において重要であると考えられます。

本技術を用いた実験の結果、常染色体劣性骨硬化症(ARO)患者の一部に見られる遺伝子変異では、RANK-RANKL結合が正常に起こらず、疾患が発症することが確認されました。さらに、本技術を用いてin-houseの3次元骨格低分子化合物ライブラリーのスクリーニングを行ったところ、一つの分子がRANK-RANKL結合を阻害し、破骨細胞の分化を抑制することが明らかとなりました。

本研究によって得られた化合物は、今後の骨粗鬆症薬開発におけるリード化合物となる可能性が示されました。

本成果は、現地時間3月28日付で「Bone」誌にオンライン掲載されました。

論⽂情報

●掲載誌 Bone
●掲載日 2025年3月28日
●著者 中濵健一, Shiho Hidaka, Kanako Goto, Mayu Tada, 土井知哉, 中村浩之, Masako Akiyama, 篠原正浩
●タイトル Visualization and quantification of RANK-RANKL binding for application to disease investigations and drug discovery
●DOI 10.1016/j.bone.2025.117473

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中村・岡田研究室
■分子細胞機能学分野:https://www.tmd.ac.jp/dent/cell/Welcome.html

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