東京科学大学(Science Tokyo)総合研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所の村上陽一教授と同 化学生命科学研究所の福島孝典教授らの研究チームは、新世代の分子メモリとして応用可能性をもつ電場応答材料を開発しました。これは共有結合性有機骨格(COF)という有機多孔体をベースとした材料開発です。
COFは最近注目を集めつつある結晶性有機多孔体のジャンルで、デザイン性と安定性の高さから多くの応用が提案されています。本研究チームは、電気双極子をもつ回転可能な分子部位(以下、双極回転子)が超高密度に整然と配列された新構造のCOFを開発しました。この材料の特長は、COFでは未達成だった低密度な新構造をもつために(つまり、稠密な固体ではないために)双極回転子の回転を許す空間が回転子周囲にある点、および常温では双極回転子の反転が起きないために常温でその向き(情報)を長期間保持できる点にあります。
これまでに、COFの類似物質の金属有機構造体(MOF)に双極回転子を配置した例はありましたが、いずれも常温で双極回転子が熱運動で回転してしまうため、メモリ応用は想定できませんでした。COFはMOFより安定性が高い特長があります。すなわち、本成果には、COFを用いた分子メモリのコンセプトを初めて実証した点、そして、それにより電場で操作可能な双極回転子をもつ新世代のメモリ材料の可能性を実証した点に意義があります。
本成果は、8月14日付で「Journal of the American Chemical Society」(米国化学会)に掲載されました。本論文はオープン・アクセスで無料閲覧できます。
論⽂情報
| ●掲載誌 |
: |
Journal of the American Chemical Society |
| ●掲載日 |
: |
2025年8月14日 |
| ●タイトル |
: |
sln-Topological Covalent Organic Frameworks with Shape Dimorphism and Dipolar Rotors |
| ●著者 |
: |
王 晓晗・ Syunto Goto・小川竹次郎・宮崎拓也・川村好機・小阪敦子・ 鈴木啓朗・張 望・ 矢澤宏次・ 魚返祐太朗・神原孝之・足立精宏・ 橋爪大輔・近藤行人・三宮工・植草秀裕・河野正規・竹原陵介・庄子良晃・ 福島孝典*・村上陽一* |
| ●DOI |
: |
10.1021/jacs.5c10010 |
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