東京科学大学 総合研究院 化学生命科学研究所

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受賞・プレスリリース

  • 2026.02.20

脳腫瘍にピンポイントで治療用ウイルスベクターを届けるナノマシン

東京科学大学(Science Tokyo)総合研究院 化学生命科学研究所の松平望(当時 大学院博士課程学生)、本田雄士 助教(川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター<iCONM>主任研究員兼任)、西山伸宏 教授(同主幹研究員兼任)、iCONM 喜納宏昭 博士(同主幹研究員)、東京大学医科学研究所遺伝子・細胞治療センター 分子遺伝医学分野の喜納(早下)裕美 特任助教、岡田尚巳 教授らのグループが共同で、脳腫瘍にピンポイントでアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を送達する標的型ナノマシンを開発しました。この標的型ナノマシンは、がん細胞特異的に結合するタグ(荷札)分子、ワインなどの渋み成分であるタンニン酸、そして精密合成高分子から構成されています。これにより、生体内での中和抗体や免疫反応からAAVを保護しつつがん細胞まで選択的に送達し、AAV 自体の高い活性を維持したまま、がん細胞内でのみAAVを放出することが可能となります。

AAVは、遺伝子治療用ベクターとして臨床応用され近年期待が高まっていますが、がん治療においては、患部への不十分な集積と高容量投与による深刻な肝毒性が課題となります。今回、新たに開発した標的型ナノマシンを用いて、AAVを脳腫瘍へ選択的に届けることに脳腫瘍モデルマウスで成功し、従来の3分の1の投与量で高い安全性と有効性を実証することができました。

本研究成果は、これまで治療の選択肢が限られていた悪性の脳腫瘍に対して、AAVベクターを利用した遺伝子治療という新たな治療アプローチを提案し、今後の臨床応用が期待されます。

本研究成果は2025年11月29日(米国東部時間)「Journal of Controlled Release」誌にオンライン掲載されました。

論⽂情報

●掲載誌 Journal of Controlled Release
●掲載日 2025年11月29日
●タイトル Tumor-targeted adeno associated virus-loaded complexes comprising tannic acid and phenylboronic acid-polymers for orthotopic glioblastoma therapy
●著者 松平望・本田雄士・喜納宏昭・ Xueying Liu・長尾周平・ 松友(新田)祥子・Guo Haochen・喜納(早下)裕美・相沢美帆・六車共平・ 三浦裕・宍戸厚・ 岡田尚巳・西山伸宏
●DOI 10.1016/j.jconrel.2025.114477

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西山・三浦研究室
公益財団法人川崎市産業振興財団
ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)
東京大学医科学研究所 遺伝子・細胞治療センター 分子遺伝医学分野

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