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真核生物鞭毛の運動調節と構築機構

真核生物の鞭毛・繊毛は、細胞に生えた毛のような細胞小器官です。(1細胞から数本程度生えている長いものを「鞭毛」、たくさん生えている短いものを「繊毛」と呼ぶ習慣がありますが、両者の構造・運動機構は本質的に同じです。)

真核生物の鞭毛・繊毛の横断面は、クラミドモナスのような原生生物からヒトまで共通した「9+2構造」をもちます。(9組の二連周辺微小管が2本の中心対微小管を取り囲むためにそう呼ばれます。)

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 図の左はクラミドモナスの鞭毛の横断面の電顕像、真ん中が模式図、右は1組の周辺微小管を長さ方向に見た模式図です。 周辺微小管のA小管の上に規則正しく結合したモータータンパク質「ダイニン」が、向かい側のB小管に対して、ATPの加水分解のエネルギーを利用して滑りを起こします。これが鞭毛運動の原動力です。

ダイニンは外腕と内腕に大別されます。外腕ダイニンは1種類が24 nm周期で1列に、内腕ダイニンは7種類がそれぞれの位置に複雑に並んで96 nm周期で結合しています。(他にも、鞭毛の根元だけに局在する特殊な内腕ダイニンの存在が知られています。)滑り活性などの個性の異なる複数のダイニンが、それぞれ決まった位置に周期的に並ぶことによって、鞭毛は波打ち運動を伝播することができると考えられています。

ダイニンが正しい位置で正しく機能するメカニズムの理解は、鞭毛の運動メカニズムを理解する上で重要です。私達は、鞭毛運動の出力の3分の2を生み出す外腕ダイニンに着目しています。外腕ダイニンは約20のサブユニットから成る複合体であり、リン酸化、カルシウム、さらにレドックス(酸化・還元)といったさまざまな化学シグナルを受け取ることが知られています。私達は、「外腕ダイニンが決まった位置に24 nm周期で配列するしくみ」「外腕ダイニンの活性が(特にレドックス・シグナルによって)調節されるしくみ」を研究しています。

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