主に研究材料としている生物

大腸菌(Escherichia coli

  大腸菌 Escherichia coli )は、γープロテオバクテリアに分類されるグラム陰性の通性嫌気性細菌です。DNAからの情報発現を中心に生物を捉え直したのが分子生物学ですが、その大発展に大腸菌は中心的な役割を果たしてきました。様々な基盤情報や、研究リソースが格段に整備されている点では、まだまだ他の生物種の追随を許さないものがあります。

 

シアノバクテリア(Cyanobacteria)

  シアノバクテリア (Cyanobacteria)は特定の生物種を指すものではなく、酸素発生型の光合成を行なうグラム陰性細菌の総称です。古くから研究に用いられているシアノバクテリアには、 Synechococcus elongatus PCC 7942(単細胞性の桿菌、偏性独立栄養性)、 Synechocystis sp. PCC 6803(単細胞性の球菌、従属栄養増殖が可能)、 Nostoc sp. PCC 7120(連鎖状で、ヘテロシストを分化することにより窒素固定能をもつ)などがあり、それぞれ優れた研究上の特徴を持っています。当研究室では、主に単細胞性のシアノバクテリアを用いて研究を進めています。

 

シゾン(Cyanidioschyzon merolae

  シゾン( Cyanidioschyzon merolae )はイタリア原産、硫酸酸性の温泉に棲息する単細胞性の紅藻(真核藻類)です。普通の真核細胞では、一つの細胞の中に沢山のミトコンドリアや葉緑体が含まれているのですが、シゾンでは細胞中にミトコンドリアと葉緑体が一つずつしかありません。細胞が増殖する際には、細胞の中でまず葉緑体が二つに増え、次にミトコンドリア、最後に核が複製し、二分裂する細胞に一つずつ分配されていきます。このような細胞の特徴は、核とオルガネラ間の相互作用の解析に非常に便利であり、理想的な研究材料となっています。核、ミトコンドリア、葉緑体のそれぞれのゲノムDNAの配列構造が完全解読され、核遺伝子の特異的破壊も可能となったので、今後の細胞生物学のモデル系として大きな期待が寄せられています。

 

シュードコッコミクサPseudococcomyxa ellipsoidea

  Pseudococcomyxa ellipsoidea (以前は Pseudochoricystis ellipsoidea と呼ば れていた) は日 の温泉から単離された単細胞性の緑藻です。 本株は、細胞内に heptadecane (C17H36) などの軽油相当の炭化水素とトリグリセリドを多く蓄積するユニークな形質を有して います。 また、酸性条件下で高い増殖能を有することから、屋外開放培養系においても他の生 物の混入を排した培養が可能です。 更に、ゲノム塩基配列の解読、トランスクリプトーム解析、形質転換系など、分子 物学的実験基盤が 既に整備されています。これらの理由により、本株を用いたバイオ燃料生産に高い期 待が寄せられており、 基礎・応用研究が精力的に行われています。

 
 

応微研ジャーナル


 
1955年創刊、67年の歴史をもつ日本オリジナルの微生物学分野の国際誌です(IF 2020/2021 = 1.447)。本誌のChief Editorを2014年3月より田中が担当しております。

微生物研究会


 
主に首都圏の微生物研究者の交流の場として、2004年4月以来、年に1~2回のペースで続けてきた研究集会です。

稀刊連載コミック MITOさん